2021年8月24日火曜日

僧尼拝所

 


僧尼拝所 三の鳥居の前 流水の小橋をわたりて左にあり正殿に向かえり 僧尼・山伏・法体人ここにおいて拝し奉る 両宮に佛家を忌む事 斎宮の忌詞をはじめ皆勅命なり 乱世には佛家混んずといえども この拝所古今失わざるなり 元亨釈書に、この神 僧を憎んで神前に許さず一大樹の本にて拝すといえり 是は外宮の神木といいし五百枝の杉の事なるべし 僧尼の拝所のほとりに中ころまで株残れり  名所 〇五百枝杉 昔は僧尼拝所のほとりにありしなり 今はなし 坂士佛参詣記に出家の輩は五百枝の杉と申す霊木の本に詣でて宮中へは参らず 是又禁裏の礼儀なりと云々

神祇百首
神風や五百枝の雪の靑にぎて杉のしるしの少し見えつつ 度會元長

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僧尼拝所は正宮の正面、御池のほとりで、昔は小さな流れを渡った所だったようです。その小さな流れも僧尼拝所も今はありません。また、そこには五百枝杉という大樹があったようです。参詣記は1342年に書かれたもの。坂士佛は誤りで父の坂十佛の作といわれています。
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靑にぎて 麻でできたにぎて。
    にぎてとは、榊の枝にかけて神前にささげたり祓いに用いたりする布や紙のこと
神風や 伊勢神宮や神に関係のある言葉にかかる枕詞
しるし 目印や証拠、霊験やご利益などの意味もあるようです、

この歌の解説は見つけられず、自己流で解釈
 伊勢の五百枝の大樹に、白いにぎてを掛けたように雪が降り積もっている。杉の枝葉も少し見えている。杉の霊力が感じられるようだ。
 しるしに深い意味はこめずに、深緑の杉に積もる雪をにぎてに見立て、美しさを詠んだ歌とも思われます。伊勢では積雪はめったにないので、この風景は新鮮だったと思います。





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