どこにも行ってない訳ではありませんが,なかなか余裕がなくてじっくり書けませんでした.
11月18日の日曜日,雨だと信じて寝坊をしていたら,出かけるのが遅くなってしまいました.雨はあがっていて,もう降る様子はありません.せっかくの日曜日なので,近場で探検できるところに行って見る事にしました.
女鬼峠は熊野古道の伊勢路の最初の峠です.熊野古道伊勢路は玉城町の田丸で伊勢街道から分岐して熊野に向かう道です.この伊勢路は,ツヅラト峠から南には数々の有名な峠道が続いていますが,その手前に,この女鬼峠と三瀬坂峠があります.世界遺産といっても,一体どこからなのでしょう.この二つの峠には,紀伊山地の深い山や,熊野灘を遥かに望む展望も無いので,遠くから訪ねて来る人には物足りない所かもしれませんが,ぜひ機会があれば立ち寄ってみてほしい所です.何で宣伝しているのか・・・
さて,私が女鬼峠に行きたかったのには理由があります.女鬼峠への道は栃ヶ池の畔から入って行きますが,この池が大変に風光明媚なのです.この池の近くに五桂池ふるさと村というリクレーション施設があります.ふるさと村は子供たちと一緒によく遊びに来た所ですが,栃ヶ池の横を車で通るたびに密かに憧れていたのです.でも,車を止めてぶらぶらと散策するには付近は寂しすぎて,変質者と思われても仕方ないような所なのです.女鬼峠に行くということで,この池の辺りを歩けるのはとても嬉しいことです.
ガイドブックをみると田丸駅から歩いて女鬼峠を通過,栃原駅まで18キロのコースが載っていますが,そんなに歩いている時間もありません.伊勢方面から自動車で五桂に向う途中,栃ヶ池にさしかかるとすぐ左手に女鬼峠の道路標識があるので,そこを左折します.カーブを過ぎると行き止まりになっているので,ここに車を置くことができます.女鬼峠へは更に左に歩道が続いています.はじめは竹薮の中,伊勢自動車道のガード下をくぐりぬけると,少しずつ登り坂になって,眼下に一面の柿畑が広がる見晴らしのよいところを通ります.柿畑の端にはいろいろな柑橘類の木が植えられていて,それぞれが黄色の実をつけています.この辺りは柿やみかんの栽培がさかんなのです.
やがて案内板があって,本格的な山道にはいっていきます.森の中を緩やかに登りますが,雨あがりの空気は冷たくさわやかで,快適そのものです.峠といってもわずか標高130m程で,あっという間に到着していまいます.古い看板があって 的山や国束山にも繋がっているようでした.峠は整備されているとは言い難く,茶屋跡は枯れ木と芝が山積みになって立ち止まるスペースもありません.この直後に切り通しといわれる,両側を垂直に削った崖に挟まれた細い道を通り抜けると,観音堂がある小さな広場に出ます.お堂の中と外に2体,如意輪観音像が安置されています.驚いたことに,おにぎり程の平たい石の真ん中に穴をあけて針金を通したものをお供えしてありました.並んで南無阿弥陀仏と彫った石碑があり,梅香寺寅書とありました.あの連隋山の梅香寺でしょう.代々尼さんなのでしょうか.ここの付近にも多くの社寺があるのに,梅香寺は遠くです.大きなお寺だったのでしょうか.
切り通し |
観音堂 |
石のお供え |
この広場からわきに展望台への登り道があるので,行ってみました.この日,唯一息がきれた所でした.南の山肌から眺める形で,柳原の集落と茶畑,遠くには獅子が岳などの度会の山々がかすんで見えます.
ここから 柳原の集落へ下山する道は広くてよく整備された道でした.柳原は茶畑が多く,人家も点在して明るいのどかな雰囲気です.山間の多気とはかなり様子が違います.
さて,ここまでで,わずか1時間です.180度方向転換して,車まで戻ることにしました.
車まで戻って,更に曲がり角にあったお地蔵様を見に行こうとして歩いていった時,じめじめした沼のほとりに背の高い木が1本生えていていました.案内の看板が立っていて,説明によるとイヌナシという木で,珍しい木のようです.小さな梨にそっくりの,たくさんの実がなっていました.よくわかりませんが,実がかわいいので 写真にとりました.家に帰ってネットで調べたら,イヌナシの木は絶滅危惧種で,日本では愛知と三重のみに自生していて450本しかないというので,驚きです.生きた化石とも,また梨の原型ともいわれるそうですが,実はまずくて鳥も食べないそうです.試食しないでよかったと思います.
さて,女鬼峠の帰りには,ぜひ五桂池ふるさと村に寄りましょう.おばあちゃんの店で,新鮮な野菜が驚きの安さで売っています.動物園も今はどうなっているのかわかりませんが,子供たちと来た頃は手頃な広さで,しかもいろいろな動物達と触れ合える,とてもよい所でした.大きな人工の芝滑りの坂と驚異的に小さい観覧車があって,観覧車では一度乗ると,空いているのでもう1周行っていいよと,係りのおじさんがなかなか降ろしてくれなかったという,楽しい思い出があります.小さい子供がいたら,きっと楽しめると思います.また宣伝してしまいましたが・・・